プロ意識が宝を生む! ◆熊彦 栗栖 基◆
先日、地元の地域活性化商業ビジョンを語り合う会に出席してまいりました。地域を支えておられる様々な商店の、料飲・物販の代表者をはじめ、寺社関係者・学識者・地元の学生諸氏の方々がフォーラム形式で地域の活性化と将来像について意見交換をされました。
そこで私も料理屋と言う立場から、地域活性化のビジョンについて所信を述べさせていただきました。以下、その時の内容について要約してみました。
今の世の中を見回しますと、本物と偽物、良品と粗悪品、必要なものとそうでないものが氾濫しており、消費者にとって本当に必要なものはどれなのか、選択視が多すぎて目移りすることが多々あります。
仏教の教えに、物心一如と言う言葉があります。
物質的なものと精神的なものは、常に表裏一体として存在することが望ましいとされています。
本来、人間社会に役立つ物とは、人が自己と他者の関係を深く理解し、自己の利便性だけを追及せずに、他者を思いやる精神を持ち、卓越した技術と自分の仕事に誇りを持つ人達が長い時間をかけてクリエイトしたもの。
つまり物質性と精神性のバランスが飛びぬけて良い物が、社会的に見ても精度の高いい評価受けることが出来ると思うのです。
私は食に携わる仕事をしており、常に当店に来客された方々に満足していただけるよう、日々努力を続けておりますが、料理屋に対するお客様の要求は千差万別で、個々の嗜好や願望を満たすことはとても難しいことであり、一生涯を通じて自分自身が満足の出来る仕事は皆無に近いと考えております。
日頃より、私は、プロ意識を自覚して日々、仕事の向上を心がけております。
つまり、昨日の仕事に満足せず、今日を迎え、今日の仕事を明日に繋げていく普遍的なプロ意識を持って仕事と向き合っております。
その結果、毎日がチャレンジであり、より良い仕事を模索する連続なのです。もちろん、その基礎となる先代から受け継いできた、知識や技術はありますが、それ以上に現状に満足せず向上心をもって仕事をしております。
プロとは自分の仕事に対して誇りと執着心を持ち続け、基礎をしっかりと身に着けているので、軸がぶれず、本物を見る目を持っています。又、失敗した経験を次に生かすことが出来ます。そういう人が働く店にはどこか品格があり来店するお客様に安堵感を与え、又、生産者として作り出す商品は消費者に長く愛され、次代のニーズに対応できる柔軟性を持っています。
京都を代表する観光地で店舗を構えるということは、必然的に多種多様な目的意識をもったお客様をもてなすことになり、とても高いハードルが要求されます。
しかしその目的意識を高く設定すればするほど、個々にプロ意識が芽生えその中から生まれてくるものは、各個店の宝物となり、その一つ一つの蓄積がより永く地域に愛される店舗に成長し、多方面から格式のある店として認められるのです。
サービス業に拘らず、そのような意識を共有できる店舗が増えれば増えるほど、地域全体の活性化につながると信じております。
と言うような、話をさせていただいたあと、出席者全員でディスカッションを行い、私見として以下のようなまとめになりました。
「地域を活性化するということは、ある意味において魅力ある街づくりをすることである。つまり京都に憧れを持ち、この地を訪れる人はその街が持っている魅力に浸りたい一心で訪れ、その街が持っている歴史・文化・風習・景観などに触れてそこに住む人々と生活を共有してみたいと考える。そこには個々の日常生活にはない魅了的な時空間がひろがり、特異な生活文化が存在する。その反面、地域住民は対照的な生活に憧れ、その地域に残る郷土性を有効利用できていない。その土地で育まれてきた、景観・地域に根ざした生活文化・様式などを今一度、見直しその中から次代が必要とする宝物を発掘していくべきであり、それを見つける為には個々の仕事に対するプロ意識が不可欠なのである。」
地域の活性化とは、まずその土地に住む人が地域を愛しその街を大切に思い住民同士の相思相愛な心境が生まれることが望ましい、そのような地域は外から見ても魅力的で多くの人々が訪れます。そしてその街は物心両面から成長を遂げることができ、その街全体が宝物となるのでしょう。強いてはそのような思想や行動が愛国心として国の宝になると考えております。
投稿者 academy : 2009年03月10日 16:11