第1回 コンペティション 決勝 大成功! ◆ 梁山泊 主人 橋本憲一 ◆
2月8日の決勝大会は河原町御池下がる東にある''ラ・キャリエール"で開催した。
この会場の朝はいつもとは異なる緊張感が漂っていた。
テレビのクルーだけでもNHK総合、NHK国際、毎日、朝日、関西、読売。
ものものしくあわただしくそれぞれのチームが動き回っている。
テレビカメラを担ぐカメラマンが獲物を見つけた野獣のように、
不意に対象物に飛びかかっていく。
照明さんはライトを周りにぶつけないようにカメラマンの動きに併せて追っていく。
音声さんも、遅れをとらじと、全速だ。
その上、新聞も各紙から、記者とカメラマンのチームで取材合戦を繰り広げている。
地方予選とは雲泥の差だ。
オフィシャル・スポンサーからの来賓や、選手の応援団がやってこられた。
もちろん、選手、それに一人一人につく助手さん。
審査員の先生方。全体を見渡す運営委員に事務方がいる。恐ろしくごった返している。
マスコミはほとんどが、ニュース取材だ。
その中でNHK総合は番組制作のために入っていただけた。
3月14日夜10時から90分放送の「プレミアム10」という番組に取り上げてもらうことになった。
この番組のコメンテーターとして、ロバート・キャンベル氏(東大教授・江戸文学専攻)、
エリザベス・安藤女史(和食を海外に紹介する方々の中で、信頼できる方のお一人)、
川原亜矢子(女優・エッセイストなど)さんのご三方だ。
三人に共通するのは、国際的な視野から日本料理を見ることが出来ること。
そのガイド役に私が仰せつかった。
何人かの選手はすでにその土地土地に出向いて取材を終えている。
決戦会場では実況中継風に作られていく。司会はNHKのアナウンサー松本和也さんだ。
大がかりで手間と費用と才能が注がれた番組だ。
いまの日本の姿を取り上げるには、全国規模で行われる
初めての日本料理コンペティションは値するということか?
それとも NHKの好意かと考えたが、好意で90分もの番組は作れない。
となると、外から見れば視聴率がとれそうで、見る人の関心を集めるだろうと云うことになる。
決して手前味噌で言っているのではない。
フランスにはM.O.Fという国家か認定するシェフの資格があり、
中国にも特別料理人という国家が認める資格がある。
他にも料理が発達した国々では、早くから優れた才能と人格に対して
正当な評価を社会的に与え、社会の宝としてきた。
ところが、料理がこれほど発達したわが国なのに、国はなにもしてこなかった。
そこで日本料理アカデミーが先頭に立って、国家資格でもって
料理人の生活を保障する制度を作ろうと考えたわけだ。
この制度は、アカデミーの面々がうまい汁を吸うためのものでは決してない。
もっと言えば、われわれは捨て身の覚悟だ。
次の世代の中から日本料理人を目指そうという若者に対するアピールだ。
若者たちの目標に値する資格であり公平な制度を作っておこうと考えているのだ。
なぜか? 素晴らしい才能を持った若者に日本料理の世界に入ってきてほしいからだ。
そのためには、「がんばれば、報われる」という当たり前のことが通用するという
日本料理界を提示しておく必要がある。国を挙げての次の世代との約束だ。
その第一歩を踏み出すことができた。
だから、第一歩としては大成功だと思えるわけだ。
前途は生半可ではない。
当然利用しようと考える人も現れるだろう。
利権争いに目敏い人は潰しにかかるかも知れない。
順風満帆に公平な制度ができあがるとは考えていない。
しかし、一歩一歩声高に大成功だ! と言うこともこのような運動には、
明るさが差し込み力が出る。
次の目標はニューヨークでの日本料理コンペティションの開催だ。
ただ、現時点では、予算の半分も金がない。
投稿者 academy : 2008年02月12日 23:55