2008年01月23日

準備と後始末                        嵐山熊彦 栗栖 基

今年も無事に戊子歳を迎えることが出来ました。
これも偏に日頃よりお世話になっております皆々様の御蔭と肝に銘じ、
今年も心新たに己の分をわきまえ本道に精進していく所存でございます。

どうぞ皆々様におかれましては、
今後とも倍旧のご温情を賜りますことを切にお願い申し上げます。

さて毎年、料理屋は年末年始にかけて極めて多忙な時期を迎えます。
特に京都では12月13日の事始が過ぎる頃からどこのお店も忘年会、
新年会、御節料理の仕込み等で猫の手も借りたくなるほど迎春準備に追われます。

またこの時季、日頃よりお世話になっている出入り業者関係との納品や
商品の発注などについて何度も注文の数量に間違えがないか
お互いに再確認の作業を行い、本当に気を使います。

ところが当方に落ち度がなくとも、先方に謝りがあったり、
逆に当方の発注ミスにより先方に多大な迷惑をかけることもあります。

しかし最も大事なことは第3者、つまりお客様にご迷惑がかかることです。
特に何処の料理屋も顧客様を持っており、新年会や御節料理の注文など毎年、
継続的にご予約を賜ることが多いものです。

そんな時にふといつもの調子で誰々様は毎年のお決まり通りでと早合点をしてしまい、
お客様の趣旨を話し半ばいい加減に聞き取って、とても重要な過ちを犯してしまうことがあります。
それも新年を寿ぐ会や御節料理であれば、尚さら元の悪いことでしょう。

そのような事態にならぬように、日頃より人の話をよく聞き自他共に落ち着いて
物事を見極めることが肝要となります。

そこで人は心のゆとりを持つことが必要になり、
時として大事が起きるとすぐ慌てふためいて失態を犯すことのないように
平素からの心構えを大切にしなければなりません。

それには、初めの「準備と後始末」が大事なのです。

いくら贅沢な食材や食器を使ってお客様をおもてなししても、
準備がいい加減であれば亭主の心は一向に伝わらず、
最後の後始末がおろそかになれば次回、使うときに何らかの支障が出てまいります。

日頃より準備と後始末を心を込めて一所懸命にしておけば、
自然に心のゆとりが生まれ、気配りが出来るのです。

我々、料理屋がよく口にする言葉に「段取り」と言う言葉があります。
「段取り」がうまく出来ていれば、その日の仕事は8割方できたのも同じことで、
あとの2割は仕上げとなります。

その心構えは料理屋の仕事に対する真摯な姿勢と経験から生まれるもので
その積み重ねが店の風格となり、お客様の信用を得ることにつながっていくのです。
そして心のゆとりが生まれて来ることにより、普段、気づかない事に気づくようになってくるものです。

降らずとも雨の用意」の意を今一度、心に刻み、
今年も日本料理アカデミーの事業が無事に成就できることを念頭におきまして、
準備と後始末を心がけたいと思います。

投稿者 academy : 2008年01月23日 23:28