2007年12月17日

食のバランス                         瓢亭 髙橋義弘

先日、近くの小学校で授業をしてきました。

初めての授業は“だし”。
昆布だし、昆布と鰹節のだし、
さらに調味料を加えて吸地に仕立てたもの、
を試飲してもらいました。

反応は、日本でも海外でも、
小学生でもシェフでも同じこと。
昆布のおいしさについては認識しにくいものの、
鰹節が入るとみんな興奮してました。
昆布と鰹節の関係や五味である「うま味」についてもお話しました。
非常に理解が早く、かなり興味を持ってくれました。

二回目は、聖護院かぶら。
かぶらを一口サイズに切り、そのまま蒸したもの、
塩をふって蒸したもの、
だしで煮たもの、
を試食してもらいました。

食材自体の味を自分なりの言葉で表現してくれて、
受け継がれていく伝統野菜のありがたさを感じたようです。

三度目の授業は、調理実習。
簡単なカブラのお汁を作ってもらいました。
材料は、だし・かぶら・油揚げ・醤油・塩。

慣れない手つきでも、調理の変化を楽しみ、
最後に味わってるときの美味しそうな子供たちの表情は忘れられません。


活動の場所や対象者が変わっても、日本料理で伝えたいことは同じ。
ここ数年で、海外からの日本料理に対する注目度はとても高まってきています。
大変喜ばしいことではあるのですが、
こうした活動を通して、危惧する面も多々見えてきます。

昆布や鰹節・伝統野菜といった日本の食材は、
“高価だ”という声を耳にします。
そして、海外でこのような活動をすると、
“どうすれば手に入るの?”という質問ばかり。

また、生産者の方々の努力によって
おいしい野菜や果物が作られているにも関わらず、
日本の自給率は40%に満たないといいます。

日本には、乾物や発酵食品などがたくさんあります。
寿司文化を持ち、生食に対する技術や意識が高いにも関わらず、
賞味期限の問題から、たくさんの食料を廃棄しています。

“もったいない”という言葉を持つ国が、
いつの間にか、一番もったいないことをしているような気がします。

日本料理に限らず、食で大事なことは世界共通だと思います。
今の日本の食のバランスは決して良いとは言えません。
そして、これらの現象は食に限ったものではありません。

日本を表現するときに、歴史・文化・伝統・技術といった言葉が使われます。
様々な分野で世界に誇れるものを日本は持っています。
しかしながら、今日それらが継承されていくことよりも、失うことのほうが多く、
その根幹までも失っているような気がしてなりません。


“もったいない”という意味は、見た目だけではありません。
環境や労力、エネルギーや時間など、いろいろなことが関係しています。
決して自己満足ではない、本当の意味での“もったいない”ことの意味。
もう一度、考えてみたいと思います。

投稿者 academy : 2007年12月17日 23:53