2007年11月30日

美濃焼                           杢兵衛 寺田慎太郎

今月の初めの日曜日(うちの定休日です)に岐阜県多治見のある陶器屋さんまで
志野、織部、黄瀬戸といった所謂「美濃焼」を見に行きました。

この辺の焼物がうちの店にはあまり無く、以前より欲しいと思っていた中、
多治見に私好みの店を見つけることが出来たので、
家族にはぶつぶつ言われながらも強引に連れて行きました。

この店の特徴は兎に角、桃山時代の本歌を
忠実に写しているものにこだわっているところです。

つまり作家名で器を選んで頂きたくないということから、
値段表示があっても作家名は表記されていません。
そこでこちらから「誰の作品ですか?」と問い掛けて素直に作家名を教えてくれません。

今回三点購入したのですが、結局口からは作家名を聞いておらず
箱の中に入れてくれた作家紹介の紙で初めて作家を知りました。

黄瀬戸は、薄く轆轤が引かれており、縁が輪花に型取られ、
見込みは蕪文様が線刻され、3ヵ所ほどに美しく胆ぱんが浮かび上がっており
所謂「油揚手」となっています。見た目以上に軽く成型されていて非常に使い易いです。

志野は、轆轤で成型されてはいるものの口辺を四角く成型し直している筒向です。
胴部分には塁座が付けられ、沢潟や檜垣紋が鉄絵で描かれ、
柚子肌が良い景色となっています。非常に白さが美しく、温かみのある作品です。

織部は所謂「鳴海織部」です。
鳴海織部の赤い部分は普通の土と赤土を繋ぎ合わせて作られており、
決して色を塗ったのではありません。非常に技術の高い仕事だと聞きます。
これは舟形向付で型押しで作られたものです。
今回私が一番心を奪われたのがこの作品です。

これら全ての器に共通するのは、非常に使い勝手が良いことです。
そして私の求めていたことこそこの使い勝手です。
個性の突出した作品で無く、職人による熟練の技こそ私の求めていたことです。

私が大変大事にしている本に「向付」ばかりを取り上げて記載したものがあります。
古染をはじめ古九谷、唐津、備前など色々載っていますが、やはり中心は美濃焼です。
そして今回購入した器の本歌が全てこの本に載っています。

片道二時間かけて多治見まで行ったかいがあったと
非常に満たされた気分で帰りの途に着いたのですが、
車の中では何故か居心地が悪かったです。

投稿者 academy : 2007年11月30日 23:58