2007年11月23日

十勝・帯広紀行 その2                   嵐山熊彦 栗栖 基

前回に続き、十勝・帯広紀行 美食・美湯礼賛のお話をさせていただきます。

11月の入り京都はどこも紅葉狩りを楽しむ観光客で賑わいます。
しかし最近の紅葉の色づきは残念ながら地球温暖化現象の影響なのか、
子供の頃に見た原色の絵の具を塗りつけたような鮮明さは無く、
ぼやけた洗朱のような色が大半で色づき半ばで枯葉となるような木々が多いように思います。

日頃、嵐山の景観を目の前に仕事しておりますので、この季節、
日増しに山肌が色濃く変化していく様子を楽しんで観察しているのですが、
近くで見る里の紅葉はお世辞でも綺麗とは言えないのが現状です。

このような現状が少なくとも半世紀以上続けば、
日本だけでなく世界的に歳時記がズレ込むだけでなく、
自然のバイオリズムが均衡を保てず、地球はとてつもなく危機的な状況を迎え、
人間という動物も生存の危機にさらされることになるでしょう。

と、言うように現実を直視すればするほど自然環境の未来は絶望感が付きまとい、
1世紀前の自然環境を取り戻すためには1千年以上の月日を要すると
論じられている現状を踏まえれば、自然回帰と言う世界人類の希望が
見えにくくなってきているのは事実です。

しかし、ここ十勝・帯広の大自然はそんな我々の不安や悩みを払拭して、
明日への希望と活力を与えてくれるのに申し分のない自然環境が残っており、
人間と自然が共生する事の重要性を全世界に発信しています。

そこで今回は、十勝・帯広にいくつも点在する温泉の中から、
現地の人にも余り知られていない秘湯をご紹介しましょう。

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帯広市からおよそ車で1時間、ここは人間よりも野生動物が先住する森、
そんな一角に秘湯“鹿の湯”があります。

話を聞けばこの秘湯は町営らしく、夏のシーズンが過ぎれば管理人も誰一人いなくなり、
我々が訪れた時はまさに貸切り状態、川のせせらぎを聞きながらまわりを見渡せば、
京都より1月早い北国の紅葉が楽しめ、途中で仕入れた缶ビールを片手にいつ尽きる事も無い、
自然への礼賛。まさしくここは文明などほど遠い癒しの森であり、
初めて訪れた場所にも拘わらず、子供の頃、近所の川で遊んだ情景を思い起こさせるような、
とても懐かしい空気が流れていました。

翌日、我々は新たなる美湯を求め帯広市から一路およそ2時間以上かけて、
北の大地に悠然とそびえる大雪山山系の麓、十勝川の上流に位置する
ヌプントムラウジ温泉を目指し出発しました。

我々が目指す秘湯はまさに北海道のヘソに位置するところで、
その周辺は大雪山国立公園の広大な自然が広がり、
目的地に到達するまでに目に映る風景は、10月の北海道とあって
山々すでに色づきはじめており、あと1週間もすれば、
見事な錦秋の粧に変わることを想像できる素晴らし眺望でした。

帯広滞在中は終始、快晴に恵まれこの日も快適なドライブ日和で目的地まで無事到着と思い気や、
国道をそれて山道に入るや否や、突然の悪路となり、まるでラリーレースにでも参戦したかのような
状態で、途中、崖崩れが起こったような場所を通り抜け、ようやくたどり着いた秘湯は、
まさに天然のオアシスとして地元の人や、山岳人に愛されている露天風呂でした。

十勝川上流に位置するこの河原は、何処を掘ってもすぐに温泉が出てくる、
まるでこの一体は床下暖房で一面覆われているような地域で、
浴槽のすぐ横で源泉が湧き出て温泉玉子など手軽に作れるぐらい随所に湯煙が立ち上がり、
時間さえあればテントでも張って、一日中、周りの景色の移ろいを眺めていたい
心境に駆り立てられる場所でした。

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今回の旅行で現地を案内してくださったS氏とそのご友人には、
言葉では言い表せないくらいのおもてなしをいただき、
我々は人間が生きていくために不可欠な物、普段、
文明社会で生活する人が忘れてしまっている大切な物を思い出させていただきました。

時として自然は人に対し暴虐を振舞い、またその一方で人を癒してくれる
古来より人が生活する場所には常に、精霊が宿る鎮守の森が回りに点在し、
人はその恩恵に感謝し、また畏怖の念を抱き今日まで生きてきたのです。

21世紀に生きる我々はとって、環境破壊による過ちはとてつもなく大きい。
しかしその現実を真摯に受け止め、千年の月日をかけて
自然環境の改善に着手するプロジェクトが今、動き出しているのです。

今を生きる者として、少しでもエコロジカルな生活を望むことが、
我々の重要な責務であると痛切に感じ、このたびの経験を次代に生かしていきたいと思います。

投稿者 academy : 2007年11月23日 23:56