2007年11月19日
気づき ◆ 山ばな平八茶屋 園部晋吾 ◆
「一文字菊、見はったことある?」と、とある料理屋の会で、
隣に座られた先輩から言われた。
どんな菊かわからなかったので、「いいえ」と答えると、
「めったに見られるもんと違うし、ついておいで。」と外に連れ出されました。
何でもその菊は、皇室のご紋章になった菊だということ。
御紋章菊とも言われるその花は、一重の大輪で16枚の花弁をもつ。
皇室の菊の御紋は、見たことがあるけれど、こんな菊を見たのは初めてだった。
「来るときにも、何鉢かあったで。」と、先輩。
ずいぶん恥ずかしいことながら、来る道すがら、菊展があって、
いろんな菊があるな、見事だなと見ていたものの、
一文字菊は、まったく印象に残っていなかった。
帰り道で見てみると、確かに十数鉢、その菊はあった。
知らないということを知るというのは、とても大事なことだ。
けれど、「見えてても見えず、聞こえてても聞こえない。」
かつて、別の先輩から言われたことが、頭をよぎる。
つまり、自分にそれを見る意識があるかないか。
しかし、ありがたいなと思うことは、先輩の一言。
先輩は、その菊を知っていて、私は知らなかった。
そして、知らない私に、そのことを伝えてくださった。
自分だけ知っていて満足していては、何も伝わらないまま、
そのことを知っている人は、どんどんいなくなっていく。
日本料理も同じこと。
知っている人が、伝えていかなくてはならない。
ただ、大事なことは、伝え手側が意図した事を、
受け手側が受け取るアンテナを持っているかどうか。
一方通行になっては、これもまた、意味がない。
知らないと見えないものもたくさんあるということを改めて知った。
投稿者 academy : 2007年11月19日 23:54