日本建築と背の高さ ◆ 懐石・宿 近又 鵜飼治二 ◆
スポーツの秋の到来。世界各国で
いろんなスポーツの世界選手権が行なわれています。
その中で女子バレーも始まりました。
日本の選手の背が高くなり190cm当たり前って感じですね。
私の身長は、163cm。もうあと10cmだけでもほしかったです。
もし10cm高かったら人生変っていたでしょうか。
我々日本人の身長は、50年前は成年男子で平均160cmだったそうです。
和室の出入り口の高さは173cm(5尺7寸)鴨居と頭の間は13cmの余裕があったということです。
したがって平均より少々背の高い人でも頭を下げないで通れたわけです。
実は日本人の身長は大昔はそう低くなかったそうです。
仏教が伝来して、その教義によって肉食禁止令が天武四年(675年)以来
幾度も発令されたほど徹底されたので、
それまで食べていた鶏、猪、馬、猿、犬などの動物性たんぱく質をとらなくなった上、
徳川時代から一般人が白米を常食するようになり、
次第に身長が低くなったと伝えられています。
それが終戦後、肉食の著しい増加などでたんぱく質の摂取が豊富になり
身長がぐんぐん伸びたのです。
現在日本人の平均身長は175cm。
ほぼ欧米の平均に近づいてきています。
身長は遺伝的で、アフリカのピグミー族の平均身長は137cm、
そのすぐ近くに住むワトツ族の身長は178cmもあります。
距離が近くとも食物が異なっていてそれが遺伝的にかたよりを大きくした結果
このような差異が出てきたのでしょう。
日本人も食生活が変り背が高くなり新しい建物を建てる場合、
その出入り口の高さは最低でも190cmは必要となっています。
しかし、まだまだ現在の日本工業規格では
建具の高さがここまで大きくはない・材料もいいものがない・襖などのバランスも悪い、
などの理由で普及していないそうです。
日本建築を建てるにあたり、住む人の背が高いのに
みすみす鴨居に頭がぶつかるようでは困るでしょう。
そして、その背の高い人の遺伝子により
さらに背の高い息子や娘が生まれたら大変なことです。
時代の流れと人類の生活は食生活とともに住生活も変化していきます。
我々料理屋もここ数年、和室に椅子席、または掘りごたつ式の部屋が増えました。
15年ほど前には座敷にまで椅子席の時代が来るとは思いませんでした。
そして今、お客様の背が高くなり鴨居の低さに戸惑われるようなことになれば大変です。
こんな時代が次は来るのでしょうか。
世の経済の成長と同じく、急成長は悩みを伴うものですね。
投稿者 academy : 2007年09月11日 23:55