2007年07月30日

酒器                            杢兵衛 寺田慎太郎

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写真の徳利は最近購入したものですが、非常に気に入っています。
この写真を見る限りでは全く分からないと思いますが、実は唐津焼なのです。
しかも朝鮮唐津だというのですがとてもとてもそうは見えません。

この徳利の作者は「窯変朝鮮唐津」と言っていますが、
間近で見ても、手に取りじっくり触ってみても、「これが朝鮮唐津?」って感じです。

これは施釉陶器というよりも寧ろ無釉の焼締陶器のようで、
胴部分にでている火色はまさに備前焼のそれに近い気がします。
口辺部をじっくり見ますと、なるほど、確かに釉薬が流れた痕跡が
僅かではありますが見ることが出来ます。

しかし私にとってそんなことはどうでも良いことでして、
この気色、重さ、感触、使い勝手全て素晴らしく、
ピサの斜塔のようにやや斜めに傾いていても、
メタボリックシンドロームのように下腹が突き出ていても、
私にとってはそれがかえって良い気色を作り出しているのだと思います。
青山二郎氏旧蔵の有名な無地唐津の盃「虫歯」を何となく想起させるような可愛らしさがあります。

私はこの徳利はやはり素人の手によるものでなく、
しっかりと計算されて作成されたものだと思います。
どっぷりしている割に案外軽く、火色が美しく出て、口の部分は非常に丁寧に削られ、
すぼみ気味の腰の部分とのバランスが良く、美しい造形となっています。

徳利の横の盃は、入角に形成された志野です。
徳利と同じく現代に作られたものですが、桃山時代の志野盃を精巧にうつしたもので
これまたお気に入りの盃の1つです。

私は個人的には所謂「土もの」に於ける日本製の徳利は
唐津か備前が最も良いと思います。
桃山時代の織部や志野の徳利も見たことはありますがあまり好きではありません。
盃に関して言えば唐津、備前、萩、志野、黄瀬戸が好きです。
特に無地唐津か皮鯨の盃、もしくは黄瀬戸の六角盃で「油揚手」で
「胆ぱん」が出ていれば最高です。

えらそうに書きましたが、実は私はお酒があまり強くありません。
けれど徳利や盃といった酒器は大好きで、良い物を見つければ直ぐに欲しくなります。
二つの違う土地で作られた徳利と盃を並べてみましたが、意外としっくりきているようです。
徳利の傾き加減で二つの酒器が仲良く寄り添っているようにも見えます。・・・私だけでしょうか?

因みに私は決してコレクターではありません。お客様に使う器を集めているだけです。

投稿者 culin : 2007年07月30日 21:06