Foodictionaryという番組 ◆ 梁山泊 主人 橋本憲一 ◆
BS-Aで毎週木曜日の夜10時から1時間放送されている番組がある。
毎回一つの食材に的を絞って、いろんな角度から検証していく。
さらにゲストの人が料理するという、うまい番組だ。
ホストは山本益弘さん。
山本さんとは岐阜の中華料理屋さんで10数人とご一緒したのが始まりだ。
たまたま隣り合わせた。4,5年前になる。そのときはワインで食べていた。
皿にうまいソースが残る。フレンチならパンでこそぎとる。中華にもパンがある。
が全体の量がわからない。
ソースに固執していいものか思案していた。
中華パンを頼むかどうするか、箸が止まった。
山本さんはそれを見ていた。
「橋本さん、皿にほんの少しワインを落として、ソースを溶かし込むといいですよ」
「エッ…???」
パンがワインに代わるということを了解するのは、容易ではなかった。
(では、ソース混じりのワインをどのようにして飲むのだ? それに、ソースの味が変わるだろう? )
「こうするんです」両手で皿を傾け、豪快に飲み干された。
食べ上手と言うことが分かった気がした。
料理を食べ尽くす。その背景までも味わう。
背景は食材であり、料理人だ。
すべてのエネルギィーが「食べる」に集中している。
「食べる」行為の前では、不作法という方が不作法だと言わんばかりだ。
ワインがソースの邪魔になるという杞憂は、同じワインで食べている舌には無用のことだった。
よりはっきりとソースが味わえた。
「中華ならレンゲをいただいて、皿を傾けソース・ワインを飲むこともできますよ」
その後、天麩羅屋さん、寿司屋さんなどを案内していただいた。
山本さんの隣に座っていずれも食べることができた。
隣で山本さんの関心がどこに働いているのだろうと考えていた。
どうやら、食材でも調理法でも、調味料でもない。料理人の哲学だという気がした。
もちろん料理は大好きだが、料理人の哲学を味わうことに
至福の喜びを見いだしているように感じた。
そういう食い手が同時代にいることは、ありがたいことだ。
それだけに、煙たがる人もいるだろうとおもった。
しかし、煙たい人がいることほど、幸せなことはないと考えると、もう一皮むけそうに思う。
食文化は作り手と食い手で作る文化であることを忘れてはならない。
投稿者 culin : 2007年06月12日 21:17