動植綵絵 ◆ 杢兵衛 寺田慎太郎 ◆
先週の金曜日、雨が激しく降りしきる中、
承天閣美術館に「若冲展」を見に行って来ました。
去年当たりから随分話題になっていましたが、
宮内庁所蔵の「動植綵絵」が今回120年ぶりに里帰りするということで
心待ちにしていた展覧会です。
伊藤若冲は、何年か前に京都国立博物館で開催された「若冲展」以来
広く人口に膾炙されるようになり、去年の「プライスコレクション」で
その人気ぶりは更に高まりました。
そんな中行われている今回の「若冲展」では
この先見られることは無いであろうという「動植綵絵」と
「釈迦三尊蔵」との同時展示が行われています。
これを一目見ようと詰め掛ける人々の多さは大変なものだと聞いておりましたので、
敢えてどしゃぶりの中を出掛けて行ったのですが、考えは甘かったです。
先ずチケット売り場で並び、「動植綵絵」の展示されている
第二展示場までの通路では20分以上待ちました。
けれどもやはり見に行った甲斐はあったと強く感じました。
30幅(釈迦三尊像を含めると33幅)もの素晴らしい絵が横並びし、
一挙に見ることが出来たのですから本当に感動でした。
「動植綵絵」は若冲が40代前半から10年間掛けて描き上げた絵だそうです。
私はこのことをしっかり頭に入れて絵を鑑賞しました。
そして強く感じたのは10年間気持ちが揺らぐことなく、
非常に固い意志をもって「動植綵絵」の作成に従事したのだなということです。
この「動植綵絵」には最初から最後まで若冲が貫き通した仕事があると思います。
若冲ならではの色使い、異常なまで細部にこだわった(若冲的)写実、
時には力強く、時には柔らかい全く迷いの無い1本1本の線などです。
個人的に一番驚いた絵は「牡丹小禽図」です。
日本の絵画史上類を見ない絵だと感じました。
空間が殆ど無く、画面一杯草花で埋め尽くされていてこれは中国絵画、
元の時代の花鳥図に近い気がしました。
専門家ではありませんので詳しいことは分かりませんが、
紅白の牡丹の配置や葉の描き方、小鳥の体色などが
上手く噛み合いバランスが取れて構成されているのかなと感じました。
意外だったのは落款でした。
統一性があまり無く、「若冲」落款のもの、
「斗米庵」落款のもの、印章のみもの、
初めて見たものでは「錦街」なんて落款までありました。
これに関してはどういう意図があったのか分かりませんが、
その時その時の気分的なものだったのかななんて勝手に想像していました。
明治時代の廃仏毀釈の時までこの絵は相国寺の参拝者なら
誰でも見ることが出来たそうです。
この絵が再び封印され、陽の目を浴びることがないと考えると悲しいものです。
もうすぐこの展示会も終わりです。
興味のある方は是非是非見に行って下さい。
それなりの覚悟は必要かもしれませんが。
投稿者 culin : 2007年05月30日 08:25