「食」の本を読む ◆ 辻調理師専門学校 小山伸二 ◆
食生活に関する話題が、報道をにぎわす日々が続いている。
健康ブームということがあるのかもしれない。
つまり、ブームを支えている、健康不安ということがあるのだろう。
食の安全、安心を脅かされているという現代。
「バラエティ」と呼ばれるテレビのジャンルのなかでは、
構成上の偽装、やらせ、歪曲があったと指摘され、人気番組が告発され、
糾弾された、ということもあった。
そんなときに、一冊の興味深い本が出版された。
『ここまで壊れた日本の食卓』編者・塩澤雄二(マイクロマガジン社・刊)。
このコンパクトにまとめられた本の示唆するところは、なかなか広範囲である。
ジャーナリストの塩澤さんがナビゲーターになり、
テーマごとに4人の研究者に談話をひきだすという構成になっている。
プロローグで、われわれ日本人がおかれている「健康」の状況に関するラフ・デッサンが示される。
戦争が終わって半世紀がたち、日本の食の状況が激変する。
そんななかで、失われた「和食」の変化を検証する場面にでくわすことになる。
コメを主食にしている日本の食のおかれた現状を、客観的なデータをもとに、
4人の各界の専門家のコメントも紹介しながら、俯瞰させてくれる。
第1章「ここにきて大きく変わった日本人の食と健康」
第2章「日本人の主食がコメになった理由」
第3章「「和食」が変わる、日本人のDNAが変わる」
第4章「壊れていく日本人の「DNA」を守るために」
第5章「今日からはじめる7つの方法」
この本で語られる「DNA」は比喩的に「日本人が見失った自画像」という意味だそうだが、
たしかに、弥生時代以降はじまったこの列島の「食生活」の流れのなかで、
出来上がった食の自画像が、いかに、この数十のなかで変容してきたのか。
そのことを、外観できる。
しかも、それは、読者ひとりひとりに、身に覚えのある、昨日や今日の状況でもある。
そして、エピローグ。
過去の食ではなくて、未来の食としての「和食」をもういちど、
この国に再生させようという、メッセージは、胸に響く。
それは、たとえば、第5章の「今日からできること」などを通して、
この列島のひとりひとりが、実践していくしか、その未来はきっと描けないのだろが。
では、最後に、その7つの方法とは。
コメを食べよう。発酵食品を食べよう。野菜を食べよう。
菌を食べよう(きのこ類など)。お茶を飲もう。
買い物に行こう(魚屋や八百屋を探して)。自炊をしよう。
投稿者 culin : 2007年04月10日 23:59