2007年04月10日

「食」の本を読む                辻調理師専門学校 小山伸二

食生活に関する話題が、報道をにぎわす日々が続いている。

健康ブームということがあるのかもしれない。
つまり、ブームを支えている、健康不安ということがあるのだろう。
食の安全、安心を脅かされているという現代。

「バラエティ」と呼ばれるテレビのジャンルのなかでは、
構成上の偽装、やらせ、歪曲があったと指摘され、人気番組が告発され、
糾弾された、ということもあった。

そんなときに、一冊の興味深い本が出版された。

『ここまで壊れた日本の食卓』編者・塩澤雄二(マイクロマガジン社・刊)。

このコンパクトにまとめられた本の示唆するところは、なかなか広範囲である。
ジャーナリストの塩澤さんがナビゲーターになり、
テーマごとに4人の研究者に談話をひきだすという構成になっている。

プロローグで、われわれ日本人がおかれている「健康」の状況に関するラフ・デッサンが示される。
戦争が終わって半世紀がたち、日本の食の状況が激変する。
そんななかで、失われた「和食」の変化を検証する場面にでくわすことになる。

コメを主食にしている日本の食のおかれた現状を、客観的なデータをもとに、
4人の各界の専門家のコメントも紹介しながら、俯瞰させてくれる。

第1章「ここにきて大きく変わった日本人の食と健康」
第2章「日本人の主食がコメになった理由」
第3章「「和食」が変わる、日本人のDNAが変わる」
第4章「壊れていく日本人の「DNA」を守るために」
第5章「今日からはじめる7つの方法」

この本で語られる「DNA」は比喩的に「日本人が見失った自画像」という意味だそうだが、
たしかに、弥生時代以降はじまったこの列島の「食生活」の流れのなかで、
出来上がった食の自画像が、いかに、この数十のなかで変容してきたのか。
そのことを、外観できる。
しかも、それは、読者ひとりひとりに、身に覚えのある、昨日や今日の状況でもある。

そして、エピローグ。

過去の食ではなくて、未来の食としての「和食」をもういちど、
この国に再生させようという、メッセージは、胸に響く。

それは、たとえば、第5章の「今日からできること」などを通して、
この列島のひとりひとりが、実践していくしか、その未来はきっと描けないのだろが。
では、最後に、その7つの方法とは。

コメを食べよう。発酵食品を食べよう。野菜を食べよう。
菌を食べよう(きのこ類など)。お茶を飲もう。
買い物に行こう(魚屋や八百屋を探して)。自炊をしよう。

投稿者 culin : 2007年04月10日 23:59