2007年03月12日

日本料理フェスタin NYC に参加して      梁山泊  主人 橋本憲一

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3月5日Marriottホテルにて栗栖正博氏、栗栖 基氏、野永喜三夫氏と私の四名で
デモンストレーションをやってきました。

こういうイベントにはハプニングがつきものです。
で、案の定、当初300名様分の「蓮蒸し」の試食を
425名様分に増やしてほしいとのメールが入りました。

このメールを確認したのは成田空港ロビーでしたので、
材料を5割増しで用意してくれるようにとの返信をするだけで、
機内に乗り込むほかありませんでした。
時差の関係で先方もメール確認ができない事情もありました。

到着した3月3日のJFKは春の日差しで包まれ、
マンハッタンに入ると春風が心地よく迎えてくれました。
コートを着ていることすら、大袈裟な風情です。
T-シャツ姿が人波にちらほら。

まるで「おのぼりさん」丸出しと、春風の爽やかさとは裏腹な気持ちを携えながら、
チェックインまでのひとときを過ごしました。

Marriottホテルのスーシェフ(副シェフ)と挨拶をすませ、
借りる厨房と冷蔵庫、調理器具に食器類の案内を受け、
試食作りの手伝いをしてくれる現地スタッフと打ち合わせに入りました。

メガホテルであるMarriottホテルは1日に5000名分の食事供給能力を誇っています。
その厨房はまるで工場です。
調理器具もまた巨大で、泡立て器でさえ長さ80?はあります。
ガリバーの国に行った感じで、味もまたそれに近いのではと
想像させるものがあります。ドライな巨大ビジネスです。

4日は朝から、仕込みに入ります。
450名分で考えることにしました。
4人は口も聞かず、黙々と仕込みを進めていきます。
現地スタッフも気持ちよく協力を惜しまずにがんばってくれます。

正博さんは懐石料理一式一人前を展示用に作ります。
基さんは野菜関係を受け持ち、「蓮蒸し」と出汁ひきを実演。
私は魚介類関係を受け持ち、3人の助っ人に野永さんが走り回ってくれました。

さて、私が担当した「さかな」は近年欧米で肉食から、
魚食へと変化が急速に進んでおり、彼らの強い関心を感じていました。
「さかな」のパフォーマンスは「造り」だと直感的に決めていました。

そこで、どのように季節感に始まる日本料理の持つ哲学を表現するのかということを、
NYCに到着してから考えました。

メインテーマを「春風の食卓」と決めました。
JFKから、マンハッタンで吹かれた春風を参加者の方々と共有しようというわけです。

盛りつけは、直径80?、深さ10?の白の大皿1枚。
同じ長径の楕円皿3枚を使わないと、会場では仕事になりません。

4枚のそれぞれにサブテーマをつけました。
テーマを明確にすることは、作り手の意図を説明することで、
参加者がよりわかりやすくするための工夫です。 

最初の円形の皿は「万華鏡」。
よろずの花が咲く春を万華鏡で訴え、サーモンを椿造りにして、
花心のレモン皮を細切りにして使います。

実演は基さんと私の二人で40分です。
あらかじめ作っておかないと毎合いません。
薄造りではとても迫力はでません。
ボリュームをつけて、短時間に盛りつけられる工夫です。

二番目は「海の中の春」。
JETOROから、昆布を使ってほしいとの要望があったので、
ホテルの部屋で夜中にうろこ形に昆布を切り出しておきました。
水温む春になると、海底で眠るように過ごしていた魚も、
春を確かめに海面に躍り出てきます。

その一瞬を表現しました。
楕円形の皿の両端に氷を山のように盛ります。
躍り出る魚の勢いで海面が波立つわけです。
昆布にはトロと平目を盛り、ウロコに反射する春の陽光の輝きを盛りました。

三番目は「小川にせせらぎ」。
雪で隠れた小川も、春の到来で姿と音をあらわす。
針魚で小川の流れを表し、炙り油目で岩。大根と人参で雪がまだ残っている丘、
菜の花と穂ジソをあしらい、気の早い小さな花をという絵画的なものにしました。

四番目は「風の出逢い」。
自然をねじ伏せようと働く欧米社会とは違い、
わが国は自然と共に生きるというのが隠れたテーマです。
春に吹く風も東風・西風・北風・南風からその間にいくつもの呼び名をつけて風を見ている。

確かに科学的で分析的だ。しかし、わが国では全部まとめて「春風」という。
春風の中には冷たい奴から、暖かい奴まで混ざっている。でも、みんな春風なのだ。
分析はものごとを理解しやすくもするが、大きなところを見逃すこともある。

烏賊とサーモンの腹身を鳴門に造り、風をあらわした。
それに、魚を捌くことは、リンゴの皮を?く様なことだ、と説明し、
リンゴ5個の皮を長さを違えて剥いたものをあしらった。

リンゴはNYCのシンボルで5個はマンハッタン、ブルクリン、ブロンクス、
クイーン、ステタン島の5地区を意味していると説明をしたら、受けました。

投稿者 culin : 2007年03月12日 20:31