2007年03月10日

韓国ソウル訪問記               辻調理師専門学校 小山伸二

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日本料理とはなにか、を考えるうえでもっとも近隣の国の料理を考察するというのは、
なかなか有益なことかもしれないなあ、と漠然と思っていたら、
ラッキーなことに仕事で出かけるチャンスが。

先月のことになるが、初めての韓国だった。4日間だけ。
しかもソウル市内だけの滞在。

現地では仕事だったのだが、朝昼晩、食事はするわけで、
その食事を通して、なにがしか、韓国、ソウルに来ているのだという実感が持てた。

成田からソウルに向かう大韓航空の機内食で出た「ビビムパプ」。
いままで食べた国際線の機内食で一番、おいしいかも。
いきなり、韓国料理の底力を見たような気がした。

もっとも、同行した部下Kさん(韓国語が母語でほかに英語、フランス語、日本語が堪能な才媛)の
優しいナビゲートのおかげも大きいが。

Kさんのやるように、パックのごはんにナムル各種をのせ、
チューブからコチュジャンを絞り出し、さらに小さい容器に入ったごま油を少量ふりかけ、
全体を韓国独特のステンレス(高級なところでは銀製なのだろうが)の箸で、
根気よく丁寧に混ぜ合わせる。

その混ぜた箸で食べてみる。
すると、バランスがとりづらく、しかもご飯がすべって、
なかなか食べられないでいると、ごはん物はスプーンで食べるものですよ、って、
Kさんに指導。韓国では左手を使わずに食べるのがマナー。となると、スプーンがいい。なるほど。

こうやって、日本海上空あたりで、ぼくのささやかな「郷に入っては郷に従え」は始まっていた。

仕事の合間にソウル在住の方に食事をごちそうにもなった。
自国の料理、食文化に誇りを持っている人たちにもてなされているのは気持ちのいいものだ。
実際に、どれも、美味しかった。

キムチもさまざまな種類がある。
また、焼き肉の突き合わせの野菜、香草類も種類が豊富で、
味のバリエーションも豊か。ついつい、食べ過ぎ、飲み過ぎてしまう。

「辛い料理」という先入観をとりはずして、注意深く、その味の世界を眺めると、
とても、4日間では、味わい尽くすことなどできない、豊かで多様な食の文化が
この国にあるのが、ぼくにもわかったような気がする。

さて、3日目の夜、そして4日の昼間だけ、まったくひとりで行動できた。
それまでは、部下のKさんの通訳&サポートで、仕事先の方々の親切ともてなしに支えられて、
最上級のソウルを体験できたのだが、さて、ひとりになって、韓国語もわからず、
ハングルも読めないまま、ホテルからタクシーに飛び乗り、夜のインサドン(仁寺洞)へ。

若い人が多いその一角には、観光客向けのチープなお土産屋も立ち並んでいるが、
おしゃれなショップ、カフェ、イタリアン(パスタ専門店?)、
地元の人でごった返している飲食店街のようなものまで、種々雑多に混在。
渋谷のセンター街あたりを歩いているような気分になる。

さて、ぼくは、あてずっぽうに、韓国風の蒸し餃子と、浅蜊のうどん(?)のようなものを食べたけど、
これは何となくピンとくるものがなく、盛り上がりにかけた味だった。
ひとりでビールを飲んでも、盛り上がらない、ということか。

そのあと、日本の70年代風の喫茶店に入ってコーヒーを飲む。
メニューにあった「韓国餅」も注文。

想像していたよりコーヒーが美味しい。
柔らかめの餅を蜂蜜につけて食べる。
しかも、コーヒーと。店内にはジャズが。
この組み合わせがシュールだが、悪くなかった。

さて、4日目は、早起きをして観光に出かけようと思い、
いろいろ悩んだ末、キョンボックン(景福宮)を見に出かける。
2025年まで復元工事が進められるのだという。

すでに解体された朝鮮総督府庁舎の写真パネルでの展示などを眺めながら、
しばし日本と韓国の歴史を思う。

広大な敷地内には、国立民俗学博物館もある。
こちらは、次回にとっておいて、景福宮の東側のサムチョンドン(三清洞)と呼ばれる界隈を
散策することに。現代アート系のギャラリーや、おしゃれなレストランが建ち並び閑静な地域らしい。
たしかに、素敵なギャラリーが続き、フレンチ、イタリアン、カフェ、ブティックなどが軒を連ねる。
道幅も狭く、日曜日のせいか車も少なく、閑静なたたずまい。

三十分くらい歩いていたら気になる店を二つ発見。
まずは、本屋とカフェが合体したような「BOOKCAFE」。

エスプレッソが美味しかった。
ずらりとならんだ、本の装丁のセンスも素敵だ。
日本にかつてはあった喫茶店文化が、きちんと生き残っているような印象を受けた。

もう一軒は、山菜料理のお店。
すごい種類の山菜をナムルにして、精進料理のコースを組み立てている。
素朴な山菜を、おしゃれな空間と、盛りつけのセンスで供する。
しかも東京でそのままやっても流行りそうな、おしゃれな雰囲気。
気がついたら、ぼくの後ろの席には若い日本人の女性客が二人いた。
韓国でも、ヘルシー志向なのだろう。

というわけで、ぼくの韓国駆け足出張は終了。
ただ、仁川国際空港に到着後、さっき山菜精進料理を食べたばかりなのに、
ムルネンミョン(平壌式冷麺)を食べ忘れていたことに気づき、
空港内の食堂に駆け込む。

ふっと隣の席をみると、大韓航空のフライトアテンダントのお嬢さんたちが楽しげにお食事を。
お昼からがっつり、クッパプ定食を召し上がっていた。

(写真は、山菜料理のお店の、山菜づくしのナムル)

投稿者 culin : 2007年03月10日 21:14