2007年02月17日

赤楽茶碗                           瓢亭 髙橋義弘

先日、お茶の稽古始めがありました。

私は、5年ほど前から仕事の合間をぬって、
お茶のお稽古に通っています。
月3回あるのですが、桜や紅葉などの忙しい時期には、
一度も通えないこともあります。

バタバタと仕事の合間でも、稽古場に入ると、
なんとも穏やかでいて緊張感のある空間に、
気持ちも改まります。
おいしいお茶をよばれて、お稽古に集中することで、
とてもすがすがしい時間を過ごすことができます。
広間で先生が、小間では先生のお母様が教えておられ、
私たちはどちらかでお点前を見ていただきます。

今年は新年の初釜を行うことができなかったので、
今回の初稽古は、お茶事の形式で行われました。
先生が亭主を務められ、ご子息がお手伝いをされ、
私たちは点心と濃茶・薄茶をいただきました。

お軸やお花、
お道具の取り合わせは言うまでもなく素晴らしく、
釜の湯が沸く音など
とても心地よいひと時を過ごすことができました。

そのお道具のお茶碗の中には、
赤楽でとても愛嬌あるお茶碗がありました。
先生にお尋ねすると、そのお茶碗は先生のお母様が作られたものでした。
何度かお稽古でも拝見したことがあったのですが、
だいだいのような、赤黒いような、
いろんな赤が見え隠れしていて、ざんぐりとしながらも、
やさしい形が人を表しているようでした。

昨年の暮れ、先生のお母様はお亡くなりになられました。
亡くなられる2日ほど前に、私どものお店に食事に来られ、
「また時間があったら寄っていきなさい 一服お点てするから」
と親切に声をかけていただき、それが最後になりました。
お葬式のお手伝いもさせていただきましたが、
あまりにも急なことで、なかなか実感することができずにいたところ、
その赤いお茶碗を手にして、
ただただ寂しさがこみ上げてくるばかりでした。

今回のお茶事も、亡くなられてから四十九日が過ぎ、
はじめて先生とゆっくりお話しをする時間を持ちました。


お軸は『一二三四五六』
先生が還暦を迎えられることにもちなんで
いろんな思いが込められていたようです。

私も心新たにし、さらにお稽古に励んでいきたいと思います。

投稿者 culin : 2007年02月17日 20:54