赤楽茶碗 ◆ 瓢亭 髙橋義弘 ◆
先日、お茶の稽古始めがありました。
私は、5年ほど前から仕事の合間をぬって、
お茶のお稽古に通っています。
月3回あるのですが、桜や紅葉などの忙しい時期には、
一度も通えないこともあります。
バタバタと仕事の合間でも、稽古場に入ると、
なんとも穏やかでいて緊張感のある空間に、
気持ちも改まります。
おいしいお茶をよばれて、お稽古に集中することで、
とてもすがすがしい時間を過ごすことができます。
広間で先生が、小間では先生のお母様が教えておられ、
私たちはどちらかでお点前を見ていただきます。
今年は新年の初釜を行うことができなかったので、
今回の初稽古は、お茶事の形式で行われました。
先生が亭主を務められ、ご子息がお手伝いをされ、
私たちは点心と濃茶・薄茶をいただきました。
お軸やお花、
お道具の取り合わせは言うまでもなく素晴らしく、
釜の湯が沸く音など
とても心地よいひと時を過ごすことができました。
そのお道具のお茶碗の中には、
赤楽でとても愛嬌あるお茶碗がありました。
先生にお尋ねすると、そのお茶碗は先生のお母様が作られたものでした。
何度かお稽古でも拝見したことがあったのですが、
だいだいのような、赤黒いような、
いろんな赤が見え隠れしていて、ざんぐりとしながらも、
やさしい形が人を表しているようでした。
昨年の暮れ、先生のお母様はお亡くなりになられました。
亡くなられる2日ほど前に、私どものお店に食事に来られ、
「また時間があったら寄っていきなさい 一服お点てするから」
と親切に声をかけていただき、それが最後になりました。
お葬式のお手伝いもさせていただきましたが、
あまりにも急なことで、なかなか実感することができずにいたところ、
その赤いお茶碗を手にして、
ただただ寂しさがこみ上げてくるばかりでした。
今回のお茶事も、亡くなられてから四十九日が過ぎ、
はじめて先生とゆっくりお話しをする時間を持ちました。
お軸は『一二三四五六』
先生が還暦を迎えられることにもちなんで
いろんな思いが込められていたようです。
私も心新たにし、さらにお稽古に励んでいきたいと思います。
投稿者 culin : 2007年02月17日 20:54