京都観光 ◆ 京都吉兆 徳岡 邦夫 ◆
雑踏を避けてのんびりと過ごす。素敵ですね!
京都の魅力は歴史の魅力。
寺社や町並みなどの風情にしろ、文化、食べ物にしろ、
いにしえの頃から今日まで、時代を積み重ね、続いてきたものに、人が惹かれるのだと思います。
人は感動の極みに涙を流すでしょう。つまり感動とは泣きたいような気持ちになること。
そして人が泣くのは過去の出来事と、今の自分自身の置かれている環境を比較して
その違いに、思い深い事が 有れば気持が熱くなるのでしょう。
極端な事がない限り、未来を思って泣いたりはしません。
ふだんの生活ではどうしても解らぬ将来が 気になって先ばかりを向きがちですが、
古いものが残る京都にくると時間の流れをゆっくりに感じ過去を思う余裕が
出てくるのではないでしょうか。
京都に人が集まるのは、そんな気持ちを求めているからだと思うんです。
過去を振り返る京都の旅なら、人出が落ち着いた晩春が好きです。
あまり人のいない場所でのんびりと過ごすのがおすすめです。
だいたい春の盛りは店が忙しく、私の場合はほとんど厨房から離れられません。
だから自然と春の終わりの散歩が好きになるわけですが、
桜の散るのを見るのも素敵ですよ!!
私自身、いつも心が安定しているわけは有りませんし、考えが煮詰まったり、
あせりを感じたりショッチュウします。
そんなとき 淡い萌黄色に芽吹た「もみじ」の新芽とあでやかに舞い散る「さくら」を見ると、
そのコントラストの美しさに 、どうしようもない輪廻を感じ、静かに考えることができるんです。
学びの場として古都を楽しむ 事はできませんかね?
単なる物見遊山ではなく「生涯学習的な旅」をされてみてはと思います。
京都には華道や茶道の家元が集まっているほか、造園や日本建築、能、聞香などと、
さまざまな学びの場があるのが特徴です。
食事にしてもただ美味を楽しむだけでなく、北大路魯山人や樂家などの
名陶が数多く伝えられているこの地では、本物の器のよさにふれることができます。
人間も自分一人がポッと生まれてきたわけでは有りませんよね。
父親や母親、祖父、祖母と、多くの人のつながりや祖先からの深い積み重ね有るから、
今ここに御自分が存在するわけですよね。
料理を食べるときも、料理をつくった人のことはもちろん、器をつくった人や
食材をつくった人の気持ちや情熱を感じることで、世界が広がると思いますよ。
そのためにも料理屋で食事するときには、料理法や器のこと、
素材のことについて、どんどん質問してほしいと思います。
そのほかにも『聞香』などがとくにおもしろいと思いますね。
簡単にいうと匂いあてゲームですが、誰がいちばん鼻が利くかを競うものではなく、
その場にいる人がみんな仲良しになれるゲームなんです。
だから勝ち負けは遠回しな、わからないような言い方をされます。
お茶の作法も、知らないから恥ずかしいとか、知っているから偉いとかではなく、
その場の人が和やかに時間を過ごせるよう、もしくは人と人の関係がより親密になれる様、
思いが互いに伝わるようにどうすれば良いか何百年かけて工夫に工夫を重ねて
作り出された知恵の結集なのだと思います。
テロが相次ぐ渾沌とした今の時代、こういう文化がもっと世界に広まればいいなと思っています。
古都独自の伝統には、先人の知恵や人が生きるさまざまな糧が潜んでいるようですよ。
投稿者 culin : 2007年02月07日 23:59