2007年01月20日

バイオレンスクレーマー                   美濃吉 佐竹洋治

皆様、おめでとうございます。今年も宜しくお願い致します。

昨年の暮れの話ですが、私の店に「バイオレンスクレーマー」の方が
食事しにきていただけました。

この「バイオレンスクレーマー」という言葉は
外食産業独自のあまり知られていない用語でありますが、
たまに、「先日、バイオレンスクレーマーにあたって大変でしたよ。」
という会話を様々な場において、耳にします。

では、この「バイオレンスクレーマー」とは
具体的にはどのようなものなのかを今から話していきたいと思います。
 
一言で日本語で直訳すれば「すべてのことに関してクレームを浴びせる方」のことで、
どうやら、心理学的に述べると、「クレームをあらゆる面において浴びせることにより、
自身のストレスを解消させる。
」いうものらしいです。
そういった際にとうとう、私は直面してしまいました。

まず、予約の定刻どおりにご来店されました。
そして、いきなり玄関のところで、
「なんか貧相な建築やしあの掛け軸も安物やね」と
いきなりぶっきらぼうに言われました。

内心えっ?あの軸は文化勲章の方の軸で、
数百万の価値があるもの何やけどなあと思いましたが、
まあ色んな見方をされる方は世の中にたくさんいるわなあ。
と思いまして笑顔でごまかしました。

その後、調理場に戻ると、いきなり、配膳さんが
「花の生け方がなってないとお客様からクレームがきてます。」といってきて、
先ほどと同じく、「あれは女将が生けたものやし、なってないということはないと思うけど
色んな見方があるので、ええんちゃうか。」と私は配膳さんに言いました。

それから、数分おきに、「前菜のカラスミが辛い」「椀物が、、、」
「向付が、、、、」といったぐあいにクレームが殺到し、
あんまりひどいので、私が席に入ると、なにやらニヤニヤして、
わけのわからない質問ばかりされ、結果的にはどういうわけか、
「この店よかったよ。わざわざ来たかいがあったよ。」と言われて満足されて帰っていかれました。

上記の事項はバイオレンスクレーマーの一例で、
普通に考えると、それだけクレームを浴びせたら当然、
料理の途中で怒って帰ってしまうはずですが、
あえて、帰らずに長居し、かつ最終的には満足されるという
ある意味矛盾が生じているというのが特徴的
であります。

しかしながら私どもの商売において共通して言えることは
お客様至上主義」でありますから、例え、バイオレンスクレーマーのお客様でも
終始、笑顔で接客し、全力で料理を提供するのが我々の使命であると思われます。

ただ、あまりにもエスカレートして、他のお客様にご迷惑をおかけする行為をされる方や
著しく風紀を乱される方等に関しては逆に「シャットアウト」しなくてはならないのも
同じように我々の使命でありますので、そのような場合にはある有名ホテルの支配人いわく、
「笑顔ではなく、真剣な顔つきで、申し訳ございません、という言葉を何度も述べる」
というような対処方法でその場を乗り切らなくてはいけないのではないでしょうか?

投稿者 culin : 2007年01月20日 19:18