2006年12月30日

床飾り                           杢兵衛 寺田慎太郎

「蓬莱に 聞かばや伊勢の 初便り」

もう4~5年前のことですが、祖父母の時代に購入された掛け軸の中に
このような賛の入った物を見つけました。

これはかの有名な松尾芭蕉の俳句ですが、
その当時これが芭蕉の俳句だとつゆ知らず、
なんて書いてあるか分かりませんでした。

ただ、この賛を書いたのが中村不折だということで
調べてみようと思いました。

また、その賛の下に伊勢海老と車海老が一匹ずつ向き合って描かれています。
この絵の中の落款が読めず非常に作者が気になっていました。
賛の方はなんて書いてあるか調べる事が出来、
その時にこれが芭蕉の俳句であることも分かりました。

ただ、絵の方がいろいろ調べてみたのですが全く分からず諦めて、
それ以降すっかりその掛け軸の存在すら頭の中から消えてしまっていました。

つい先日ある骨董屋から目録を頂き、
それを見ていると全く同じ物が載っているのです。
直ぐに掛け軸を引っ張り出してきて二つを並べて見比べたところ、やはり同じです。
表具は違いますが、絹本のサイズも同じでこれは明らかに同じものを
幾つか製作したのだなと認識しました。有難みが半減した気分でした。

とは言えやはりお正月にはピッタリの軸ではあります。
これを床の間に飾り、床に万年青なんかを置くと
しっくりきて良いだろうな、なんて思います。

私の所にある掛け軸の量は決して多くないのですが、
何故か正月にかけるのに丁度いい画題のものが
割合多くあります(決して多いわけじゃありません)。

「伊勢海老の図」だとか「朝陽の図」だとか、
また新年を祝った和歌懐紙なんかもあり、
これらの軸に合わす花や置物などを色々考えるのは楽しいものですね。

「床飾り」というと少し難しく考えがちですが、
自分なりに考えてコーディネートするのは非常に勉強になります。
基本的な知識は必要なのだと思いますが。

来年はもっと勉強し、自分なりの床飾りを模索していけたらなという抱負を
述べさして頂いた所で締めくくりたいと思います。

どうぞ皆様、良いお年を。

投稿者 culin : 2006年12月30日 22:37