2006年11月20日
霜月の茶趣 ◆ 美濃吉 佐竹洋治 ◆
今月の茶趣として真っ先にあげられるのは、「茶人正月」であると思われる。
以前に「なぜ、11月なのに茶人は正月であると祝うのか?」と疑問に思い、
自分なりに検証してみました。
確かに、世間一般的に考慮すると正月は1月であるのが常識である。
しかしながら、11月は「炉開き」「口切」と二つの行事が重なるので
茶人にとっては一年で最もめでたい月であるといわれている。
「炉開き」とは新緑の5月から行われてきた風炉から炉に変わるものであり、
開炉ともいわれ、大体「柚子の色づくを見て囲炉裏に」といった言葉のごとく
11月初旬より始まるもので、5月の初風炉とともに茶人にとっては重要な行事とされている。
また、「口切」とは新茶の採れる時期に茶壷に納め、
約半年後の今頃に茶壷の口の封印を切って当年初の濃茶を点てるものであり、
一度でもこの「口切」の茶事の客となれば、大変光栄なことであるといわれている。
上記のような要因で10月は正月前であるので「名残惜しむ月」とされ、
今月から「華やかな月」となり、当然我々の業界も明るい道具の取り合わせとなるわけであるが、
これらの中で少し不明な事項がある。
その事項とは「三部」といわれるこれまたこの月独特のもので、
おりべ(織部)、いんべ(備前)、ふくべ(瓢)の3つのものを使用するのが好ましいというものである。
一方では明るい趣向に、また一方では三部を用いるべし?
この矛盾の奥はかなり深いものであるのであろうか?
投稿者 culin : 2006年11月20日 16:10