ショウロンポウ・スティック ◆ 木乃婦 髙橋拓児 ◆
今回は、上海市内の南京西路のある
小龍包などの点心で有名な「王家沙」でのお話です。
実は、今回とあるTV番組から中国料理を学んでくるというミッションが与えられ、
上海ロケに行ったわけですが、第一回は、「小龍包」*写真1を学ぶというテーマでしたので、
創業1930年の老舗「王家沙」を訪れ、その秘伝を伝授されるという内容でした。
食事をしに行っているのに、途中から白衣に着替えて厨房に入るという
ベタな設定でしたが、とても楽しく、ノリノリでやってしまいました。
小龍包のつくり方を教えて頂いたのは、
上海でも数名しかいない特級点心師「蒋 静芬(しょう せいふん)」さんでした。
私は、良く言えばあまり人見知り、物怖じはしない性格(悪く言えば偉そう)ですので、
すぐに蒋さんとも仲良くなりました。
そうなると蒋さんは、包み隠さず「小龍包」の作り方を教えてくださいました。
中に入っている具材について教えてもらい、
更に、強力粉と水の混ぜ方、練り方、寝かす時間、そして生地の伸ばし方まで、
丁寧にやって見せてもらいました。
生地の伸ばし方も綺麗にするには大変難しく、
中心は厚く、周りは薄く引き、まん丸に仕上げなければならないので
10回ほどやりましたが、うまく行きません。
これは、生地の真ん中に蟹味噌や蟹身、豚肉や背脂を入れて、
茶巾にするため閉じる口は薄いほうが良いのです。
生地を伸ばす道具も、写真*2のように独特の形状をしていて、
2本でローラーすると周りが薄く引けるようになっています。
あつかましくもこの特級点心師の蒋さんご愛用の
ショウロンポウ・スティックを頂戴いたしました。
「頑張ったら、一番になれるわよ!」と励ましのお言葉までいただきました。
お陰で帰ってからは常に手元に置いておいて、
伸ばせるものは何でも伸ばしています。
では、「小龍包」の何を学んだのでしょうか?
この料理の特徴は「食べるまで何か分からず、香りもしない。
一口食べるとたくさんの肉汁とともに旨味と香りが口の中いっぱいに広がり、
極度な温度差を楽しむ料理」だと思います。
ですから、これを日本料理にするとしたら、
別に強力粉の生地を使わずとも、このコンセプトさえ守れば可能なのです。
ちなみに私は帆立貝のすり身で生地を作りました。
美味しかったですよ。中国語と言ったらニーハオ位しか知りませんでしたが、
料理を通じてコミュニケーション出来て新しいことを発見した時は、
いつもながら感動する瞬間です。
これがあるから、料理は止められません。一生涯、発見と吸収の旅です。
投稿者 culin : 2006年10月28日 20:55