2006年10月20日

掛け軸に関すること                     美濃吉 佐竹洋治

%E3%81%9D%E3%81%AE%E4%BB%96%20001-s.jpg数年前の事ですが私の兄が当時、
商社に勤めておりまして転勤で
ベトナムのホーチミンでの勤務となっており、
久々に日本に帰ってきた時のことです。

兄いわく「やっぱりせっかく日本に帰ってきて
明朝すぐにホーチミンに戻らなああかんし、
懐石料理を食べたいなあ。」と言ってきたので、
珍しく家族にてある料亭に行かせていただきました。

その際に母親が座敷に案内された時に
すぐに床の間に行き、掛け軸を拝見した
とたんに「ご主人が私らに気を遣っていただいて。」と
感激していた光景を今でも鮮明に覚えております。

私どもの竹茂楼の竹に因んで「竹」の掛け軸を
掛けていただいていたのです。


我々日本料理店のいわゆるその店の雰囲気の半分は掛け軸で決まる
とよくいわれますが、今になって何となくその言葉の意味が
自分なりにわかるようになってきました。

ちなみに、写真の掛け軸は徳力富吉郎の兎のもちつき玩具で裏千家鵬雲斎賛、徳寿無量です。

時期は無論、仲秋の名月の頃で、禅語と遊び心のある絵画が
組み合わせられた非常に時候がわかりやすいものでありまして、
この掛け軸を座敷に掛けてみると部屋全体が名月の趣向に不思議と包み込まれ、
私が好きな掛け軸のうちの一つです。

このように日本料理においての「掛け軸」というものは
非常に大きなウエイトをしめるもので、
茶道の世界におきましても会記説明の一番最初に記されることからして
大変奥が深いものであると私はつくづく実感しますので、
今後も研鑽していきたいと思います。

投稿者 culin : 2006年10月20日 12:28