2006年10月17日

日本らしさ                           瓢亭 髙橋義弘

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先日、新潟県の長岡市に行ってきました。
地元の食材を使って、京料理を仕立てる」と
いったことでホテルでの賞味会。
昼は松華堂弁当で夜は懐石。
しかもこれで4回目。

震災があったときに2年ほど空いてしまいましたが、
ほぼ毎年呼んでいただいて、「来年も是非」
なんて言われて帰ってきました。

店で普段からしている仕事を
長岡で獲れた魚や野菜を使って提供しました。

長岡では、ほとんど焼き物でしか食べない“のど黒(赤むつ)”を
昆布締めにしてみると、とても意外だったようで大変喜んでいただけました。

のど黒の身はやわらかい方なので、
新鮮でも生でそのまま食べるにはなじみにくい魚です。
それを昆布締めにすると「何が起こったの?」と思うくらい、
ネッチリというかモッチリというか肉質が変化して、
昆布の浸透も良く、とても味わい深いものになりました。

当たり前のように食べていた食材に違った味わいを発見したときって、
とても美味しくてうれしい気分になるんですよね~

地元の食材を使った郷土料理はもちろんですが、
逆に食材の流通が良くなったことで
全国あるいは世界の食材を使って
その土地の郷土料理に盛り込むといったことも、
最近では喜ばれるようになりました。

でもそれを違和感なく表現するのは
容易なことではありません。

自分が扱いなれたなじみのある食材は
当然のように調和するのですが、
大きく異なった気候風土や環境から運ばれてきた
食材同士を結びつけるためには、
いろんなことを取捨選択しながら、
美味しいバランスを見つけなければなりません。

美味しいというのは味だけではありません。
ひとつの料理が提供されるとき、
その料理には様々な背景が存在します。
歴史や文化、気候風土、思想やインスピレーションなど、
作り手がこれまで育んできたものすべてが
その構成要素として料理の中に込められています。

食べる側がそれに共感を抱いたとき、
美味しいことが喜びや楽しみに変化し、高揚感を抱かせてくれます。

先日、美術館で『風神雷神図屏風』を観てきました。
俵屋宗達尾形光琳酒井抱一、60数年ぶりに
3つの風神雷神図が一堂に会した展示でした。
3人の絵師の間には一世紀、
またそれに近い時代の移り変わりがあるにもかかわらず、
その絵の根底には一貫した何かを感じました。

今店で作っている料理が、
100年後200年後にはどのような形で表現され、
どんな味わいに変化しているんでしょうか。

日本の食文化は、歴史ある独自の文化を育みながらも、
世界の食を柔軟に受け入れ、新たな食を見出してきました。
しかしながら、急激な社会環境の変化とともに、
日本的バランスも少しずつ見失われているような気がします。

継承と発展、伝統と創造、矛盾しているようなものを
両方意識しながら調和の取れた食文化を形成していくことは、
日本人だからこそ大事にしていきたいことでもあります。
食に限らず、そんな“日本らしさ”を求めていきたいと思います。


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投稿者 culin : 2006年10月17日 19:45