2006年09月26日

チュルボ                   相伝京の味 なかむら 中村元計

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今日は昨年の春、日本料理アカデミーがフランスで行なった
ワークショップで使った「チュルボ」という魚について少し話してみたいと思います。

この時のワークショップは「チュルボ」という魚をテーマに
日仏の料理人が自国の料理技法を駆使して、
一品を作り上げ、互いの国の料理を認め合いつつ、
それに対していろいろ質問、疑問をぶつけ合うことにより日仏の文化、
料理、感覚の違いを認識し、双方の参加者が相互作用して、
それぞれが新しい「気づき」や創造を得ることを目的
としていました。

ところが、この「チュルボ」と言う魚が曲者でした。
相手が「チュルボ」というよく知らない魚というだけでなく、
我々日本料理で使う魚は鮮度のよいものを選びますが、
フランスでは活け魚を使う習慣がありません
活け締めという手法もない為、
魚の状態は日本料理で言うとあまりよくない状態です。

単に作っておいしいものと言うだけなら、
アイデアや思い付きでいくつも出来ますが、
作った料理が「チュルボ」でなければいけないという
必然性を持たせた料理でないと、上記の目的は達成できません

かなり厄介でしたが逆に料理人として非常にやりがいのあるテーマでした。

チュルボは、ヒラメ・カレイの類ではもっともフランスでは珍重される高級魚です。
見た目はひらめですが、背の表面に突起があります。
肉質はアンコウ、ふぐ、エイ、オコゼ等に近く、かなり弾力性があります。
骨と皮もアンコウに近いのではないでしょうか。
味は美味といわれておりますが、あまり味を感じませんでした。
しかしながら淡白なのかというと魚固有のクセは充分にあります。
このクセは強烈なものではありませんが、
あまり慣れたものではなく、何となくいやな匂いがします。

最初は日本料理の技法をそのまま使って料理をしましたが、
納得のいくおいしいものは殆ど出来ませんでした。
日本料理で一般的な焼物や蒸し物のように直線的に火を通すと、
必要以上に堅くなったり身質がボソボソになってしまいます

また焼きたて、蒸したての身を口に入れ食べると、口の中にいやなクセが漂います。

このクセが好きな人には美味しさの中の一つと言うことになりますが、
そうでない人はいやな味、においと言うことになります

そういう点でチュルボのクセというのは、
われわれ日本人には馴染みがないため、
いやな香りとして感じるのかもしれません。
生は天然の場合はそんなにクセも感じず、
身は時間が経って締まっていても
歯ごたえはそこそこよいので割と使いやすいです。

ただ、養殖は余分な油分が多く、
生では食べにくいですが流水で洗いにすると
余分な油分も抜けてそこそこ食べられます。

チュルボの料理をする時は熱をくわえる調理の場合、
火を通しすぎてクセを出したり、身が堅く締まってボソボソにならないように
留意する必要があり、またはクセをだしてもクセを感じさせないような
料理にすることがアプローチ方法であると認識しました。

投稿者 culin : 2006年09月26日 12:51