2006年08月20日

今後の日本料理の調理場                 美濃吉 佐竹洋治

25歳の若かりし時(今でも充分若いですが)私自身、
徒弟制度」というものがあるからこそ高品質な日本料理が維持され、
伝承していっているのだと思っておりました。

しかしながら、ある時期にうちの若い調理場の者が
次々と辞めていった時に私はたまりかね、
改めて「徒弟制度」というものを考え直しました。

確かに上下関係がはっきりし、先輩後輩の区別を明らかにすることによって
調理場内の規律を正す意味においては素晴らしく、他業界にはない制度だと思われます。
ただ一方で劣悪面も生じてきます。

例えば、調理場の1年生が3人いるとして、
そのうちの1人が要領が悪いものだとすれば、
本来ならば同期の3人が一緒に片付けをし、
同時刻に寮に帰るべきものが1人だけ残され
1人で全部の片づけをさせられるというシーンも出てきます。

同じことで朝の場合も1人だけ早く出勤して
調理場のセッティングを終えた時に他の同期の2人が出てきて
「おはよう。セッティング終わったか?」といった具合に。

こういう事態をどんくさいものが悪いんだという認識で放っておくと
1年後に1年生が入って来たときに2年生のものに
過剰に仕事を押し付けられ全員辞めてしまい、
今度は2年生の要領の悪いものが辞めてしまう。

これらをどうするべきか?と思案した結果
個別カウセリング制度」というものを創りました。

これは具体的に述べると月2回、私と最低20分調理場一人一人のものと
マンツーマンで話あうものであり、当然テーマは徒弟制度についてです。
さらにカウセリング結果を月1回の幹部会に議題として提出し、社長の前で読み上げる。

こうしたことを実施した結果、最終的にはわが社の全店での
調理職の離職率は大幅に下がりました
日本料理は依然、フレンチやイタリアン、そして8時間労働のホテルなどと比較すると
一番人気が無いといえます。
これは私は前述した劣悪な徒弟制度というものが
まだ残っているというのが最大の要因であると思われます。

それぞれの日本料理店が店の規模にあった人事政策を行い、
「日本料理の調理場は劣悪である」というイメージを排除すれば
もっともっと日本料理志望者が増大し、
将来的には日本料理の発展に大きくつながると私は思います。

投稿者 culin : 2006年08月20日 08:43