フィレンツェに学ぶ京都流「伝統と創生」 ◆ 田中誠二 ◆
去る6月に海外出張の機会があり、フィレンツェ、アッシジ、
ペルージャ、ローマ等イタリア中北部の都市を歴訪しました。
その中でも、ワインや豊かな農産物で有名なトスカーナ州の州都であり、
京都市と40年の長きにわたり姉妹友好都市である「フィレンツェ」が
たいへん印象深く、強く私の心に残りました。
フィレンツェの歴史を振り返ると中世的な神中心のあり方に疑問を抱き、
皇帝派と教皇派の戦いを繰り返しながら都市が自治と自由な発想を勝ち取った中で、
文藝復興の運動であるルネッサンスの開花につなげて行ったと伺い、
この街の歴史と伝統が育んだ文化創生への飽くなき探究と挑戦の気象には、
心打たれるものがありました。
とりわけその中心となったメディチ家は、
ミケランジェロをはじめラファエロやボッティチェリ等イタリアのみならず、
欧州全体に強い影響を及ぼした芸術家を育て
ルネサンス発祥の地となった「花の都」フィレンツェの隆盛を築き、
この時代に完成度をさらに高めた伝統工芸や建築技術は、
この街を彩る多彩な文化・芸術の中に今も息づいています。
また、教皇内に閉ざされていた芸術を一般市民レベルに開放し、
この都市がもつ芸術・文化的価値をさらに高いレベルに昇華させた
この一族の功績は計り知れないと感じました。
京都に住み、京都の文化や伝統に少なからず恩恵を得ている私たちは、
京都の自然、文化、そして藝術を含めた豊かな蓄積に感謝の念を抱き、
もっと感心をもち、これらの保全と振興に積極的に関わる必要があると感じた次第です。
街の品格、優れた文化や歴史、そして美しい環境において、
共通点が多く見られる京都とフィレンツェを比較する中で、
文化であれ、商業であれ、
「伝統を守りつつ、大胆に時代の要請に呼応する前衛を打ち出しながら、
新たな伝統を作り上げ、伝統と革新のサイクルを循環させる姿勢が大切」
であることを感じた次第です。
これからも日本料理アカデミーの活動を通じて、
我が国固有の豊かな食文化を国内外に発信していきたいと思います。
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投稿者 culin : 2006年08月01日 10:12