料理人として ◆ 京都吉兆 徳岡 邦夫 ◆
「徳岡さんは、食とそれに関わる活動や文化・風土に関する
いろいろな活動に参加していますが、関心のある部分は
どのような部分ですか?」とよく聞かれます。
その質問には、「食環境の健全化です。」とお答えいたします。
経済が破綻しても人は、何とか生きていけますが
食や自然環境が破綻すれば命の継続はないからです。
今日、特に日本人が意識を抱く優先順位が間違っているように思えるのです。
大切な食の源である自然環境保全や一次産業への意識の低さを
いろいろな立場の方々と意見交換し解決していきたいです。
一人で出来る事とは違う事が団体では出来ると考えています。
その活動がその環境において本当に正当であれば、
多くの人に必要とされるはずです。
そして、役に立つのですから幅広い層に広まりを見せるでしょう。
そういう広がりが素晴らしい事だと考えています。
日々環境は変化し続けています。
環境の変化によって適応していく事は、大切な事だと思っております。
その事は、いつの時代でも行われてきた事です。
ただ、 近年、特に日本ではその適応方法の価値に多面有る事を知ろうとせず
一面だけしか見ずに偏った価値判断をしてしまい、歪んだ経済優先型生産方法だけに
価値観が求められ進んでいる様に感じています。
調理場に居る私には、その事が食材の味を通して感じられました。
しかし 17年前には、何がおかしいのは分かりませんでした。
お客様に満足頂ける料理を作りたいと言う思いから料理法を研究したり、
仕入れ方法の見直しをしてみたりしましたが、思うような料理にはなりませんでした。
試行錯誤の末、行き着く所は生産地だという回答になったのです。
生産者の実体を見、知らされ愕然としました。
ただその中にも懸命に努力されている姿を見つけました。
より深く、いろいろな方の立場を考えるようになりました。
そして徐々に社会の歪みを感じるようになりました。
一方方向の進化、もしくは方程式的な物の考え方しかしなくなった様におもいます。
世の中ではいろいろな事が起こりいろいろな価値観が有ります。
その事をもう一度再確認する為には、フラットな立場でいろいろな方と
コミュニケーションする事が大切だと思います。
食に携わるものとして食を通して、そういう場を作る事が出来ると思います。
又、生産者と消費者の間に居る事よりその縁を取り持つ事が出来るのです。
その事は料理人にとって使命、義務だとも思います。
投稿者 culin : 2006年08月05日 12:57