・・・鮎・・・ ◆ 相伝京の味 なかむら 中村元計 ◆
7月も下旬に差し掛かりちょっと落ち着いてきた京都の町ですが、
今年は雨がよく振りますね。いまだに梅雨が明けません。
この頃になると毎年今年こそは久しぶりに鮎釣りに行こうと思うのですが、
なんやかんやと用事があり、3年ほどは行ってないでしょうか。
この鮎という魚は全くもって人間の為に生まれてきたような魚で
何か可哀想だなぁと感じます。
しかしながら、釣っておもしろく、食べてもおいしくと2度楽しめるどころか、
場合によってはお客さんに出して喜んでもらえると3度も得をしたような気がする魚です。
オトリの鮎をうまく操作して縄張り鮎のいそうなところへ自然に泳いでいるように見せかけ導く。
頭に水中のイメージを浮かべて楽しむ。
その途端、手にブルッブルッという感触とともに水中にキラッと2匹の鮎が光り、
ギュギュギューとさおを絞り込まれるような感覚。
何とも言えないうれしさが込み上げます。これが忘れられません。
釣りに行くのは当然店が休みの日で、釣って持って帰って
「こんなええ鮎、塩焼きにしてお客さんに出したら喜ばはるやろなぁ」と思っても、
自分か家族で食べるしかなかったのですが、
ある時からいい鮎の時は自分で食べるのはもったいない、
何とか使いたいと思うようになりました。
それからは干物にして鮎ご飯として「これは○○川の鮎でございます」と言って
お出しするようになりました。お客さんにも喜んでいただき趣味と実益を兼ねておりました。
同じ鮎でも河川によって味、香り、魚体等、異なりそれぞれ特徴があります。
初めての川に行って「ここの鮎はどんな味やろう?」と思いを馳せ、食べるのも面白いものです。
私の経験ではやはり水がきれいで、水温はやや低めの川の方が良い様に思います。
それ以外に、渇水中でアカ(石についた苔)が腐っている時、
増水で濁りがある時の鮎も味は少し落ちるように感じます。
釣行した河川の数は20河川程と少ないですが、
その中で一番印象に残っている川は15年ほど前に行った奈良県の天川です。
その昔弘法大師が天に通じているような美しい川といわれた川だそうで、
見ているだけで惚れ惚れするような趣のある川です。
釣り上げた鮎は手に取るやいなや、西瓜のような強烈なえも言われぬ、
良い香りがして魚体には青みがっかった透明感があり、
追い星(えらの横の黄色いところ)はまっ黄色で背びれ尾びれともに大きく美しく、
又、塩焼きにして食べると鮎独特の香と良質の旨みが口の中一帯に広がり、
最高においしかったことを覚えています。
今年こそは久しぶりに行きたいなぁと思うこの頃です。
※写真の鮎は 7月21日に中東さんが書いておられます
松上げの行なわれる辺りの上桂川上流の鮎です。
投稿者 culin : 2006年07月26日 11:00